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2010年「“戦争責任を覚える日”を考える」集会報告

ヤスクニ・社会問題委員会
  • 4月29日(木)午前11時、旭川教会
  • 韓国併合100年の歴史から…キリスト者としてどう受け止めるか…
  • 道内 韓国・朝鮮強制連行遺骨発掘収集返還のビデオ上映
  • 講師 古賀清敬(日本キリスト教会宣教教師)

 朝鮮は始めから貧しかったのでもなく、近代化が遅れていたわけでもない。高宗(コジョン)皇帝は都市計画や金融・郵便・鉄道事業など積極的に近代化を進めていた。それを日本は「朝鮮は自力で近代化できず、独立の力もないから日本が助ける」という口実を内外に振り撒いて、植民地支配を強行した。その大きな要因は、日露戦争での莫大な借金返済や貧困対策であった。困難を克服して得たという東洋人の勝利が華々しく語られるが、国際的名誉以外に「実益」はほとんどなく、日本国民の不満は募っていた。その対策として、日本は、大国ロシアを打ち負かして世界の「一等国」に仲間入りしたという誇りを蔓延させ、さらに植民地を持つほどにまでなったという傲慢な気分が、日本人の国民意識(ナショナリズム)を醸成し浸透させた。このような最大の人権侵害の中で、日韓相互の関係の歪みが複雑化した。日本の側にも、差別を当然視するような支配者根性というべき、精神的歪みや社会制度的歪みをもたらした。
  このような朝鮮植民地支配の中で、日本のキリスト教会はどのような言動をとったのか。冷静かつ真剣に検証する必要がある。今だに、戦争責任・戦後責任は未清算である。その背後には、36年間の植民地支配によって日本人側にもたらされた歴史的罪過への鈍感さや対アジア認識への歪みがあって、日本人がまだ解放されていないという課題があるからだ。日本の教会はそのような課題の枠外にあると言えるのだろうか。たとえ未来の宣教のビジョンを語ろうとも、歴史の現実と向かわなければ石地に蒔かれた種のように根を下ろせず、鳥に食べられるのがおちである。
 明治以来日本のキリスト教は、「異質な他者」という政府と社会からの大きなプレッシャーに直面し、何とか日本社会に受け入れてもらえるようにとの願いが高じて、順応主義に陥ってしまったと指摘出来る。それでも日本社会は、キリスト教を正面から受容したとは言えないまま今日に至っているという事実は重い。日本における宣教の課題、東アジアのキリスト教会との交わりの回復と協力とを展望するに際し、この100年を振り返ることを欠かしてはならない。 私たち日本の教会は、真理の霊である聖霊の導きを祈りつつ、これらの課題の克服への取り組みを通しての福音の進展がもたらされる歴史的脈絡にあり、そこに希望もある。
  …講演の前に、北海道の韓国・朝鮮強制連行遺骨発掘・収集・返還のビデオ上映を観た。戦後 はまだまだ終わっておらず、日本政府と民間人とわれわれ教会人の無責任さが痛々しいほど心 に伝わってきた。
(共催…北海道中会道北地区全体修養会・日本キリスト教会靖国神社問題特別委員会、文責…編集人)

以上「664号ヤスクニ通信」より転載 

664号 ヤスクニ通信  2010年5月9日
発行  日本キリスト教会靖国神社問題特別委員会
発行人  加藤正勝   
編集人  川越弘
印刷・発行 千葉保 (旭川教会)〒070-0814旭川市川端町4条10丁目4-25  TEL&FAX0166-54-2837